書評のようなもの 横溝正史『壺中美人』を読んだ この作品、来歴についての情報が少ないのですが、1957年(昭和32年)9月『週刊東京』に掲載された短篇がベースになっているとの記述がネット検索で見つかりました。名作『悪魔の手毬唄』の連載と時期が重なっているため、あちらの方にパワーを割かざるを得なかったのかもしれません。 評価 世界観:3点 どういうわけか『支那扇の女』とダブる。事件の現... 2021-06-22 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『人面瘡』を読んだ 初出は『講談倶楽部』1949年12月号。この作品の舞台は信州で、金田一耕助の登場もありませんでしたが、1960年7月の『続刊 金田一耕助推理全集第2巻』収録の際、舞台を岡山に移すと同時に、金田一もの(磯川警部も?)に改稿されたそうです。 評価 世界観:4点 『不死蝶』に続く地方モノ。岡山・鳥取県境の湯治場が舞台。『八つ墓村』付近かよ。洞... 2020-08-28 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『不死蝶』を読んだ 初出は1953年6月~11月の雑誌『平凡』。のちに加筆して、1958年に加筆して『金田一耕助 推理全集第1巻』として東京文芸社から刊行されたそうです。ちなみに『平凡』って、おもに芸能ネタを扱う週刊誌でしたよね。 この作品は、原作を読む前に映像作品を視てしまいましてね、若かりし日の竹下景子がヒロイン・鮎川マリを演じた1978年の横溝正史シリーズⅡ。 ... 2020-07-31 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『火の十字架』を読んだ 角川文庫版『魔女の暦』に収録された中編です。初出は1958年(昭和33年)発行月不明の『小説倶楽部』。小説中の事件の発生年も、同じく昭和33年とされています。 「劇場」「ヌードダンサー」「浅草」という単語が頻繁に登場することからもわかるように、表題作『魔女の暦』と似通った雰囲気の作品なので、出だしから食傷を感じてしまいます。どうせ中編2編を収... 2020-06-12 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『魔女の暦』を読んだ 直接的なコロナ騒動の影響というわけではありませんが、ずいぶん間が空いてしまいました。どうも一つのことにじっくり取り組む心境になれず……。 言い訳はさておき、今回は『魔女の暦』。横溝翁お得意(?)の短編の中長編化で、初出は1956年(昭和31年)5月の『小説倶楽部』です。 報らせを受けて現場に駆けつけた金田一耕助は、思わず「あっ」と声を... 2020-05-15 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『八つ墓村』を読んだ 『犬神家の一族』や『獄門島』と並んで、最も有名な横溝作品と言っても過言ではないでしょう。 映画やドラマでの「祟りじゃ~! 八つ墓の祟りじゃ~!」という台詞が印象的な『八つ墓村』です。 初読は確か中学生の時。当時は人生経験の乏しさゆえか時代背景や登場人物の立場・心情を理解できず、そこまで良い作品とは思えませんでした。 今じっくり読み... 2020-03-20 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『霧の山荘』を読んだ 初出は『面白倶楽部』昭和33年11月号に掲載された『霧の別荘』。のちに中編化されたのが本作とのことです。 K高原(おそらく軽井沢)の別荘地帯を舞台とした事件で、冒頭のシーンにいきなり“霧”が出てきます。その場面が印象的なのですが、欲を言えば、最後に霧の中で犯人逮捕!として、霧で始まり霧に終わるというのが味わい深かったかと……。 評価 世界... 2020-01-24 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『女怪』を読んだ 『女怪』というタイトルからして、怪獣みたいに巨大で容貌魁偉な女が登場するのかと思いきや、現れるのは「ほっそりと華奢でなよなよとして、どこかに頼りなげな」女性です。金田一耕助が恋心を抱いた二人の女性のうちの一人・虹子。ただし、物語は悲劇的な結末を迎えます。 本作は『オール讀物』1950年9月号に発表された短編。ちょうどストーリーが2時間の枠に嵌りやすい... 2019-12-27 書評のようなもの
書評のようなもの 横溝正史『悪魔の降誕祭』を読んだ 記事タイトルの「…分析してみた」を「…読んだ」に戻しました。やはり「分析」って、どうにもおこがましいや。 で『悪魔の降誕祭』ですが、『オール讀物』昭和33年1月号で発表された作品。その後、約3倍の長さに改稿されて角川文庫『悪魔の降誕祭』に収録されています。 大胆不敵! 金田一耕助の事務所で起こった殺人事件。被害者は、その日電話をしてきた依頼人だ... 2019-12-13 書評のようなもの
書評のようなもの 島田荘司『占星術殺人事件』を分析してみた 本稿を起こすにあたり、改めてじっくり読み返してみました。前半のまどろっこしさには少々辟易させられたり、細かいことを言えばいろいろ突っ込みどころはあったりしますが、それらをひっくるめてもこの作品には最高の賛辞を送りたい。百人百様の評価があろうが、メイントリックは圧巻です! それだけに『金田一少年の事件簿』で、いとも軽く流用されているのを見つけた時は、強... 2019-11-22 書評のようなもの