横溝正史『壺中美人』を読んだ

書評のようなもの

この作品、来歴についての情報が少ないのですが、1957年(昭和32年)9月『週刊東京』に掲載された短篇がベースになっているとの記述がネット検索で見つかりました。名作『悪魔の手毬唄』の連載と時期が重なっているため、あちらの方にパワーを割かざるを得なかったのかもしれません。

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評価

世界観:3点

どういうわけか『支那扇の女』とダブる。事件の現場が深夜から未明にかけての成城で、最初の登場人物がパトロール中の警官で、次に訳アリの女性が現れる、という展開だからか。その意味では、やや新鮮味に欠ける舞台設定。

ストーリー:4点

中華の香りと男色とサディズムと……横溝翁の東京モノには異常(とも一概に言えないか)性愛がつきものだが、この作品もご多分に漏れず。少し食傷気味。壺に入る美女は、妖しく不可解でインパクトあり。

人物造形:3点

個性の強い人物が、まずまずの深みをもって描かれている。

サスペンス:3点

特筆すべきものはない。淡々と事件が進展する感じ。

論理性:2点

一応筋道は通っているのだが、今ひとつ腑に落ちた感がない。後の考察でも触れるように、詰めの甘さがあちこちに見られるせいか。

意外性:3点

性別誤認については、意外と言えば意外。

トリック:2点

特筆すべきものはない。強いて挙げれば、タイトルが最大のトリックか?

文章・文体:3点

安定の横溝節。しかし東京モノの常として情趣に欠ける。

合計23点/40点満点。

次ページ、ネタバレです!

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