『伊勢』と『日向』を航空戦艦にはしません

太平洋戦記

来年(1941年)初頭、中国大陸で国民革命軍&八路軍に対する誘引迎撃を始めるまでは、ひたすら戦力の充実とそれを支える技術開発・設備拡充・資源備蓄に努めます。

1940年4月第3ターン(このゲームでは1ターン=3日なので、4月7~9日)に呉海軍工廠で戦艦『日向』の対空兵装強化工事完了。

対空兵装とは、要するに自艦に爆弾や魚雷を命中させようとして接近してくる敵航空機を撃墜・撃退するための装備で、それを増強する工事が終わったということです。ちなみにこの工事、ドックに入渠させてではなく、軍港内に碇泊させて工作艦を使って行いました。工事の前後で何がどうなったのかというと……。

  • 副砲(14cm50口径砲):16門 → 撤廃
  • 12.7cm高角砲:8門 → 16門
  • 25mm機銃:20門 → 104門

できれば、主砲も36cm砲から長門型の40cm砲に換装したかったのですが、ゲームの仕様として不可能(エディット機能を使って架空艦型として登録すれば新造艦として建造可能ですが、史実仕様からの改装はできない)なので断念。もっとも12門の主砲すべてを40cm砲にしたらトップヘビー(艦の上部が重たくなって安定性が悪化)になるとか、速力が著しく低下するとかの悪影響が生じるだろうな。

副砲の「14cm50口径砲」の意味ですが、射出できる砲弾の直径(口径)が14cmで、砲身の長さが14cm×50口径=700cmであることを表しています。これを全廃して高角砲と機銃を大幅に増強したというのが、改装の要諦。

「高角砲」というのは日本海軍特有の呼称で、一般的には「高射砲」と呼ばれ、比較的高い所を高速で飛ぶ航空機を標的とします。そのため、極めて高い仰角(上方を仰ぎ見る視線と水平面とがなす角度)で砲弾を撃ち出す必要があり、12.7cm高角砲(40口径89式12センチ7高角砲)の場合、-8度~+90度ということで、水平より少し下あたりから真上にまで撃てるのでしょう。Wikipediaによると、発射速度は毎分14発、最大射程は14,622メートルとありますが、カタログスペックなのでかなり割り引く必要があると思われます。

一方の「機銃」は「機関銃」の略。おもに低空で接近してくる敵機(雷撃機かな)が射撃対象なので、高角砲ほど大きな射高や射程を必要としません。多数の弾丸で弾幕を張るという戦法を採るため、重要なのは発射速度。25mm機銃(96式25ミリ機銃)の場合は、最大発射速度が毎分230発、実用発射速度は毎分130発というものです。

多少なりとも知識のある方ならご存知でしょうけど、史実では、伊勢型戦艦の2隻『伊勢』『日向』はいずれも「航空戦艦」(通称)という世界にも類を見ない艦型に改装されたので、本ゲーム内での対空兵装の仕様数値はフィクションです。開発元であるジェネラル・サポートは徹底して資料を調査し、極力史実に基づいた数値をゲーム内でデータ化しているため“真に”本格的なプレイを堪能できます。

で、その「航空戦艦」ですが、なぜ航空母艦と戦艦のあいの子のような艦を作らなければならなくなったのか。

開戦以来ほぼ連戦連勝だった日本軍は、1942年6月のミッドウェー海戦で米軍にボコボコに叩かれ、虎の子の主力空母を4隻(『赤城』『加賀』『蒼龍』『飛龍』)も失ってしまいます。この戦いの敗因については、やれ連勝の気の緩みから機密保持が杜撰になっていただの、やれ作戦目的が曖昧だったことが現場の判断を狂わせただの、いろいろと議論のあるところですが、それはここでは触れません。

とにかく航空母艦を大量喪失してしまったので、当然補充が必要になりまして、空母を中心とした新造艦の建造計画(改マル5計画)が策定されました。これは空母だけでも18隻、その他駆逐艦、潜水艦、海防艦など合計361隻、総トン数115万トンの建造という空前の大計画でしたが、蓋を開けてみれば、資材はない、設備もない、人手もない。逆に戦局が逼迫するにつれて損傷艦は増える一方で、結局、空母だけを見ても、

  • 改大鳳型:5隻計画したものの、全艦建造中止
  • 飛龍型:4隻計画したものの、2隻竣工、2隻未成
  • 改飛龍型:9隻計画したものの、1隻未成、8隻建造中止

という結果に。竣工した艦にしても、その頃にはもはや搭載する飛行機すらなかったという惨状で、いやひどいもんです。

横道に逸れてしまいましたが、ともかく空母建造……ですが、これら新造艦の就役予定は昭和19年後半。2年半は長過ぎるということで、より短期間で空母戦力の増強を行うため、既存艦の航空母艦への改造を行うことになりました。

戦艦でいうと、大和型以外の全艦型(長門型、伊勢型、金剛型、扶桑型)が改装の検討対象となりましたが、まず長門型は大和型に次ぐ主力艦なので除外。高速がウリの金剛型も、研究の結果、工事量が多く改装に時間がかかり過ぎるとの理由で除外。残るは旧式艦の扶桑型と伊勢型ですが、結局、上部構造物をすべて撤去して全通飛行甲板を持つ通常の空母に改造するには1年半以上の大工事が必要とのことで断念。

そこでやむなく、一部主砲を撤去して作業甲板や格納庫を設置し、大型カタパルトで艦上爆撃機を射出するという航空戦艦改装案が浮上したわけです。その対象に伊勢型戦艦が選ばれたのは、扶桑型よりも若干高速だったことと、不慮の事故によって『日向』が既に第五砲塔を撤去されていたことが理由。しかし、その航空戦艦も「戦艦と空母の長所を兼ね備えた万能艦」ではなく、互いの長所を相殺する兵器という評価しか与えられなかったのは、誠に残念という他は……。

このゲームプレイでは、航空戦艦などという「どっちつかずの中途半端な艦艇」にすることは避けたいので、伊勢型戦艦の改装を対空兵装の強化一本に絞ります。建造および計画中の改大鳳型空母4隻は、史実と違ってちゃんと就役できるだろうし。

コメント

タイトルとURLをコピーしました