横溝正史『幽霊座』を読んだ

書評のようなもの

初出は『面白倶楽部』という雑誌。昭和27年(1952年)11月号と12月号に掲載された中編小説です。

横溝翁が芝居、特に歌舞伎に造詣が深いことはよく知られていますが、意外にも歌舞伎の世界を取り上げた作品は本作の他にはありません。角川文庫版『幽霊座』の解説で大坪直行氏が述べられているように、一般受けしないと思われたんでしょうか。ただ大坪氏は同じ解説で「梨園にわだかまる因襲と確執、親子の愛憎のからみなどは横溝正史独特の草双紙趣味が上手く出ていて面白い作品である」と評されています。

私も歌舞伎には疎く用語も知らないので、辞書首っ引き(kindle版なので検索しまくり)で読みましたが、うらぶれた劇場を舞台とした世界観の描写が味わい深く、他の作品にない色彩が印象的でした。

本作で紹介される演目『鯉つかみ』のCM動画。

プロットはまずまず。自分にはよくわかりませんが、梨園の特殊性というか、独特の芸術世界の空気は漂ってきます。ただ本名と芸名(?)が混在するので、途中で誰が誰やらわからなくなり、ページを戻ることもしばしば。

以下、畏れ多くも横溝翁の著作にケチをつけるなどということはできないので、単なる感想として何点か触れてみたいと思います。

次ページはネタバレです!

幽霊座 「金田一耕助」シリーズ (角川文庫)
人気随一の若手歌舞伎俳優が失踪、17年後の追善興行で、またしても殺人事件が……。梨園にわだかまる因習と確執、激しい親子の愛憎の中に謎が隠されていた! 表題作に「鴉」「トランプ台の首」を収録。

コメント

タイトルとURLをコピーしました